高齢者福祉施設における原発防護対策に関する質疑応答(平成28年第3回 9月定例会-09月14日)

松江市議会会議録検索-議事録発行センター」より抜粋。

平成28年第3回 9月定例会-09月14日

◆1番(岩本雅之) 続いての質問に移らせていただきます。
 平成24年度の補正、平成25年から始まったと思われますが、島根県の原子力災害対策事業につきまして、その概要、それから実施状況をわかれば教えていただけないでしょうか。

◎防災安全部長(多久和正司) まず、島根県が実施しております原子力災害対策事業、これは社会福祉施設の放射線防護対策を行うものでございますけれども、島根原子力発電所からおおむね10キロ圏内の社会福祉施設において、寝たきりの人や車椅子利用者など避難準備に時間を要する要配慮者が入所され、避難の実施まで屋内退避を行う必要がある施設に対しまして、島根県が管理者の協力を得て実施しているものでございます。
 事業実施に当たりましては、当該施設が耐震性があり、津波等による浸水被害を受ける可能性が低いことなど、対象となる建物には要件が設定されております。対策の内容は、施設に放射性物質を取り除くフィルターを備えた換気設備を設置いたしまして、清浄な空気を送ることで建物内の気圧を高め、放射性物質の侵入を防ぐというものでございます。
 この事業の実施状況につきましては、発電所からおおむね10キロ圏内の老人福祉施設や障がい者支援施設などを対象といたしまして、平成25年から平成27年度まで17の施設において放射線防護対策が実施されております。以上です。

◆1番(岩本雅之) ありがとうございます。この10キロ圏内にある高齢者福祉の施設、特に特別養護老人ホーム、それから障がい者の方のための施設、授産施設とかそういうところ、10キロの圏内であれば万が一のために、原子力の災害が起こったときのために一時退避をする場所ということで、今17カ所で防護対策がとられていると聞いております。この間、ある特別養護老人ホームの方がこのようなことを言っていらっしゃったんですが、近所を歩いている、犬を散歩させているある住民の方から、おたくは原発のそういう災害が起こった場合において、核シェルターみたいなものをつくられたんだねえと、それは私たちが逃げ込んでもいい場所かねという形のことをお話しされまして、それにどういうぐあいに答えていいかわからなかったという話がございました。実際、その関係者はよくわかるんですけれども、地域の方にとって、それが一体どういう災害対策の事業であるのかについては、明確に市民、住民の方にもしっかりと知っておいてもらったほうがいいだろうということで質問させていただいております。
 ちなみに、この高齢者福祉施設で陽圧化対策をしたところでございますけれども、陽圧化対策をしたら、万が一のための避難訓練とか、そういうことをやっていくと思うんですけれども、まず、何にもしなくてもその保守点検という経費が発生するところでございますが、大体50人定員の1施設に対して年間約130万円ぐらい、保守点検が何もなくても払うということが1つあります。それから、もし訓練に陽圧化装置のボタンを押すと、そしてしっかりとフィルターがちゃんと作動しているかどうか確認すると、こういうことをした場合、このフィルターを全面取りかえしなきゃならないと聞いております。このフィルターを交換する代金が、これもその施設の大きさによって違いますけれど、大体650万円から1,300万円ぐらいかかると言われております。一応情報としてお伝えをしておきたいと思います。
 続きまして、このような形で原子力災害対策事業をしていくわけですけれども、今17カ所ということでございました。特別養護老人ホームは、御承知のように本当に介護度も非常に高い方、なかなか避難ができない方であったり、障がい者の授産施設等も、自分の判断をもって避難することがなかなか難しい方ということでございますが、同じように、高齢者の福祉施設でいいますと、例えばケアハウスとかあります。このケアハウスは、そもそもが常時自分でいろいろなことを元気でできるんだけれども、そうであったとしても将来に不安がある方ということでございましたが、今は、当初に入られた方がお年を召していらっしゃいまして、ケアハウスというところで住みながら、その部屋のところに在宅サービスを利用しながら生活しているという方も、そういう方が多くなってきているという現状がございます。
 そういうケアハウス、それからあと保育園ですね。保育園は、社会福祉事業でいうと第2種の事業でございますけれども、保育園につきましても、想像ができる人は想像していただければと思いますけれど、いざ何かあったときに、その保育園にいるお子さんを速やかに家族の方がお迎えに上がることが、そういう災害が起こったときにしっかりとできるかどうか考えたときに、やはり一時退避をしておいてもらったほうがいいのではないかなあと。せっかく災害対策をするのであれば、やっぱりあらゆることを想定してしっかりと進めていって、その上でさまざまな最終判断を図っていくのがいいのではないかなと、私はそういうぐあいに思っております。
 したがいまして、質問でございますが、ケアハウスや保育園などその他の施設もできるだけ防護対策をしたほうがいいと思いますけれども、松江市の見解を伺いたいと思います。

◎防災安全部長(多久和正司) 先ほども申し上げましたが、この事業、島根県の事業でございますので、島根県に対しまして、ケアハウスやその他の施設などについて防護対策の実施方針を問い合わせいたしましたところ、施設ごとに入所者や建物の状況も異なることから、まずはそれぞれの施設の状況を把握しながら、その中で放射線防護対策の必要性について個別に検討していきたいとのことでございました。市といたしましても、施設の状況などをしっかりと把握して実態に応じた防護対策を検討していただきたいと考えているところでございます。以上です。

◆1番(岩本雅之) 丁寧な御説明ありがとうございます。島根県の事業ということもありますのでなかなか答えづらい点もあったと思いますけれど、しかし、実際にこの事柄を進めるのはやっぱり住民の安心・安全、それから要援護者に対する避難計画をつくるに当たっても非常に重要な視点だと思いますので、ぜひ御確認をしてもらうとうれしいなと思っております。


平成28年12月1日発行  まつえ市議会だより第29号(9月定例会)
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