平成27年度介護報酬改定に関する質疑応答(平成27年第1回 2月定例会-02月25日-1)

 
松江市議会会議録検索-議事録発行センター」より抜粋。

平成27年第1回 2月定例会-02月25日
 
◆1番(岩本雅之) 皆様お疲れさまでございます。真政クラブの岩本雅之でございます。
 本日3月3日はひな祭りでございますが、保育園や各家庭におかれましてもさまざまな行事がありまして、子供の健やかな成長を願うところでございます。先般の川崎市で起きました痛ましい中1の児童の殺人事件、これにおきましても本当に言葉にならないところでございます。今後、私たちは、命の問題、その事柄をしっかりと考えていかなければならない、そういうぐあいに私は思っております。
 そういたしますと、早速、通告に従いまして質問に入らせていただきます。
 平成27年度の介護報酬改定につきまして、介護サービスを提供した事業者に支払われる介護報酬が9年ぶりに全体で2.27%引き下げられることになりました。この内訳でございますが、介護経営の実態調査、それぞれの事業の収支差額でございますが、これを反映したとされる4.48%の引き下げ、これと、介護度3以上の中重度及び認知症等に対する評価としてプラス0.56%、それから職員の待遇の改善に関して一定の基準を満たしている事業者にだけ加算される処遇改善加算のプラス1.65%を合わせた数字、これが2.27%であります。ちなみに、施設サービスと在宅サービスに振り分けると、施設が0.85%、それから在宅が1.42%のマイナス改定になります。
 この事柄におきまして、私自身、独自で調査をちょっとさせていただきましたが、例えば施設サービスの中心であります特別養護老人ホームでございますが、介護報酬の減によりまして大体1,300万円から1,400万円の減、それに室料の徴収加算増、処遇改善、こういうものを合わせて、最終的には120万円から130万円の減収と、これが特養のほう。それから、在宅でいいますと、デイサービスでございますが、こちらのほうになりますと、介護報酬の減が320万円ぐらい、それで加算を足して何とかして150万円ぐらいの減だと。大体こういう感じで、各事業者は今必死にいろいろなことをしているところでございます。
 まず初めに、お伺いをいたします。
 松江圏域の事業者は、設立年度が古いもの、それから新しいもの、あるいは多様なサービスを提供しているもの、それから例えばデイサービスだけとかそういう単一のサービスを提供しているものなどさまざまありますが、今回の改定により事業の存続自体に影響が出てくる事業者もあると考えていますが、松江市としての御見解を伺いたいと思います。

◎健康福祉部長(田中豊) 事業への影響ということでございますが、これにつきましては昨日、林議員、桂議員にもお答えをしておりますが、介護サービスの事業所におきまして収入減による経営への影響、これを危惧する声があること、十分承知をいたしているところでございます。そうした中におきまして、サービスの継続的提供、これは介護サービス事業の経営安定が不可欠でございまして、あらゆる機会を捉えまして経営状況の把握に努めてまいりたいと考えております。

◆1番(岩本雅之) それでは、今回の改定によりまして、介護業界の人材不足にますます拍車がかかるのではないかと言われています。安心して働くことができる労働環境の構築や、介護サービスの質の低下につながらないようにするためには、どのような対策や検討をとるべきだとお考えでしょうか。松江市としての御見解を伺います。

◎健康福祉部長(田中豊) まずは、全ての事業所において介護職員の処遇改善、これが確実に実施されるよう取り組んでいただきたいと考えております。そのことが、安心して働くことができる労働環境の改善につながることと考えているところでございます。そのために、市では、事業者の皆さんに情報提供を行うとともに、適切な指導、支援を行ってまいります。
 また、介護サービスの質の向上を図るため、第6期の計画において、介護従事者の質の向上と人材確保に取り組んでまいることといたしているところでございます。具体的には、介護従事者の研修の実施、中高生の介護職場の体験、こうしたことを実施してまいりまして、将来の介護職場を担う人材の育成にも努めてまいることにいたしております。

◆1番(岩本雅之) そういたしますと、今、処遇改善を確実に実施していかなければならないというお話が出ました。引き続いてまたお伺いしたいと思います。
 政府は、このたびの処遇改善加算等により、介護職員の月収が約1万2,000円程度上がるようにするとしています。介護職員処遇改善計画書における賃金の改善の基準点はいつの時点で考えればいいのでしょうか。また、今回の改定により、約1万2,000円程度、本当に賃金は上がるのでしょうか。松江市としての御見解を伺います。

◎健康福祉部長(田中豊) 処遇改善計画書における賃金改善の基準点、この基準点というのはどの時点と改善の比較をするかという時点でございますが、この基準点については国からまだ通知がないため、現時点では不明でございます。示され次第、各介護サービス事業所に対して通知をさせていただきたいと思っております。
 また、賃金が上がるのかというお尋ねでございますが、これにつきましても昨日お答えしたとおりでございますが、介護職員の処遇改善につきましては、その効果が対象者に確実に反映されるよう、事業所に制度の趣旨を十分に御理解いただくよう、情報提供、相談を丁寧に行ってまいりたいと思っております。

◆1番(岩本雅之) 介護士の処遇改善につきましては、この処遇改善をしなければならない介護職員の賃金を上げて、福祉という職業がしっかりと地域に根づくようにということで、まずは処遇改善交付金という形でずっとありました。それが、平成24年になりまして、今の加算という形でございます。この加算は、先ほどもお話をしましたように、一定の基準を満たした事業者が対象ということで、加算も処遇加算1、処遇加算2というぐあいにあるわけでございますが、この一定の基準を満たすために、事業所も、先ほどもお話ししましたけれども、いわゆる規模が大きい、または年数が長く事業をやっている、そういったところにつきましては、例えばそこの労働環境の改善のためにさまざまな人材育成をしたり研修に出したりということができて、そして加算がとれるということだと思うんですけれど、最近始められた、しかもデイサービス1つだけ例えばやっているというようなところは、ふだんの福祉事業をするだけで精いっぱいで、なかなかそういった加算をとるまでには至らないのではないかと思っております。
 私自身思うんですけれど、介護職員の賃金は、今のように報酬が改定されるたびに事業者を一喜一憂させるような方法はやはり見直すべきではないだろうかなと私は考えております。ぜひその事柄をお聞きいただければと思っております。
 それでは、続いての質問に入らせていただきます。
 社会福祉法人など多くの福祉事業者では、毎年の定期昇給など職員の待遇改善をするなら全ての職種を対象にするべきだと考えています。例えば食事の介助があります。この食事の介助、人間が生きていく中で最後の楽しみと言われるもので食というものがありますが、この食事の介助、または食事をしっかりとしていただくために口腔ケア、そういったものをするわけでございますが、これにかかわる職員は、介護福祉士、調理師、栄養士、管理栄養士、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、看護師、それから事務もしなきゃいけませんから総務事務員、それからそもそものケアマネジャーなどさまざまな専門職が連携してチームケアをする。これは、福祉の関係で厚生労働省なんかともお話をする中においても、チームケアを進めていかなきゃならないね、地域においては重要だねという話は常に出ます。
 しかし、今回の改定では、介護職以外の職種についての改善はほとんど触れられていません。このことについてどのように考えればいいのでしょうか。松江市としての御見解を伺います。

◎健康福祉部長(田中豊) 国が実施をいたしました平成25年度の賃金構造基本統計調査、こうした調査がございますが、この中で、介護職員の給与は全産業平均より約10万円低いと、こうした結論、結果が出ているところでございます。一方、国の社会保障審議会介護給付費分科会におきましては、介護職場においてその他の職種の方、特に看護師を初めとする医療専門職、こうした方々のベースラインの給料は基本的には高い、こうしたことから議論がなされたところでございます。
 このように、介護職員の賃金は他職種と比べて低いということから、今回の介護報酬改定においては介護職員を対象として処遇改善加算が実施されることになったと承知をしております。

◆1番(岩本雅之) 再質問で、調理師についてはいかがでしょうか。どのような認識を持っていらっしゃいますでしょうか。

◎健康福祉部長(田中豊) 実際のケアについて多様な職種が連携をして一人の方をきちっとケアをする体制がなくてはなかなかできないということは実際にそのとおりだと思っておりますが、ただ今回の報酬改定については、先ほど申し上げたような考え方、論点の整理から介護職員の給与に対しての引き上げを図ろうということでございまして、それぞれの職種については、事務職あるいは給食関係の方、それぞれの施設においても差異がございましょうけれども、今回の改定についての考え方はそうしたことだと考えているところでございます。

◆1番(岩本雅之) 私は、やはり事業者の努力、経営も含めて、運営も含めて、その努力にも限界があるのではないかと思っています。加算をとるに当たって必要だと思われる出来事が、今回もしかしたら経費削減の対象になるんではないかと。1つは、収入減の影響により、介護職員を含め他職種の人員削減につながる可能性もある、2つ目は、人員確保のための広告費、採用活動費の削減、3つ目は、研修費を削減しようかという意見、4つ目は、福利厚生費をどのように削減するのかというようなことで、いずれにせよ人材確保がさらに困難になるんではないかなと言われております。しっかりとこの介護報酬の改定に当然全ての事業所も向き合っていかなければならないと思いますが、ぜひやっぱり福祉事業者がしっかりと地域に根差して地域の拠点であり続けるためにはどうしたらいいかということを皆さんでまた理解していただくと大変うれしいなと思っております。


平成27年6月1日発行  まつえ市議会だより第23号(2月定例会)
20150611gikai